小説とプログラミングのお話

小説の紹介を徒然やりながら、たまにプログラミングについて語る

【小説家になろう】堕落の王【感想】 (ネタばれあり)(完結済)

 

 今回の紹介は、小説家になろうで投稿され、ファミ通文庫にて出版された「堕落の王(作者:槻影 様)」です。

 

 

この作品はこんな人におススメです

・俺TUEEEが好きな人

・昼行燈に見えるけど実は凄い主人公が好きな人

・七つの大罪というキーワードが好きな人

・ラスボス的主人公が好きな人

・ツンデレ男キャラが好きな人


 

 本作品は2015年11月2日に完結され、その後書籍化されました。作者の槻影様は他の作品も書籍化されており、話の作りこみや文章がとても素晴らしく、非常に読ませてくれる方だと思います。

 ひとまずは、あらすじをどうぞ。

 

あらすじ

気がついたら異世界に転生していた。
寝ていたらいつの間にか望んでもないのに魔王になった。
働かなくていいなんてこの世界、最高じゃないか。きっと日頃の行いがよかったからに違いない。
怠惰の味は蜜の味。栄光、勤勉、貞淑、名誉など興味もない。
堕落の王とは何を隠そう――この俺の事だ。

 

 

主人公

現代日本らしき世界から悪魔へと転生した男。

悪魔の持つ系統樹(スキルツリー)のうち、「怠惰」のスキルツリーを成長させ、『魔王』のクラスを得ている。

動かなければ動かないほど力を得る(逆に動けば力を失う)『怠惰』の特性もあるが、本人の性格上、ほぼ寝てばかリ過ごす。だが、動かなくて済むように『怠惰』の特性として尋常ではない各種耐性と防御力、回復力、触らずとも遠くのものを動かす能力、転移能力、そして意志ある人形を生み出す能力など、動かなくても済む、戦える能力を獲得している。並の悪魔や天使ではかすり傷一つつけられない。

 さらに奥の手とも言える魔界でも唯一無二の能力も持っているが……本人が面倒くさがるので誰もそのことは知らない。

 

読んでみて

 比較的あっさりとしたあらすじですが、読了後にもう一度読むとなんとも味のあるあらすじに見えます。

 基本的に主人公の一人称で進む物語であり、主人公の面倒くさがりでマイペースな性格から語らせると確かに上記のようなあらすじになるのだと思います。

 

 最近はよく見かける転生ものではありますが、本作品の転生先は文字通り弱肉強食がまかり通る魔界の悪魔。悪魔に限らず、この世界の存在はスキル系統樹(スキルツリー)というものを持っていますが、悪魔の場合は大罪として有名な怠惰、強欲、色欲、憤怒、暴食、嫉妬、傲慢の七つの系統樹の内どれかを主として持ちます。主人公の場合は、「怠惰」のスキルツリーを成長させ、「悪魔」のクラスから「魔王」のクラスへと至った存在です。

 スキルツリーを成長させるためには、その大罪にふさわしい行動を取らなくてはいけません。「怠惰」の場合はすなわち動かない事。動かなければ動かない程スキルツリーは成長し、動かなくて済むようなスキルを発現させていきます。

 主人公は、はるか太古から「怠惰」に沿う行動を取り続けていた(つまりひたすら寝てた(笑))ため、凄まじい成長と力を得ることになりました。しかしながら本人の性格と「怠惰」故の動かないという特性から、目立つことはないため他の悪魔や魔王にはその実力が知られておらず、見下されてすらいます。そんな敵が、主人公に安易にちょっかいをかけてやられるという所謂ざまあ展開が結構ありますので、そういた展開が好きな方はカタルシスを得られるでしょう。

 

 私のおすすめのエピソードは、主人公の息子?であるハード・ローダーのお話です。

 「傲慢」の悪魔であるが故に他者を見下した言動が多く、ついには父である主人公すら見下して倒そうとしますが、主人公の為にせっせと軍団を作ったり、主人公の地位が低すぎると文句を言ったり、主人公は至高の存在だと言ったりと端々にツンデレ要素が見え隠れしていて実に良いキャラをしています。

 そんな彼と主人公、息子と父の戦いは非常に盛り上がるシーンだと思います。特に最後の主人公のどんでん返しにはかなり痺れました。主人公にラスボス感が実に堪らないです。

 エピソード毎に様々なキャラの視点で描かれていて、中弛みも無くすっきりとしていながらも濃度の濃いお話が楽しめると思います。

 ぜひご一読ください。

  

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