小説とプログラミングのお話

小説の紹介を徒然やりながら、たまにプログラミングについて語る

【小説家になろう】フシノカミ【感想】(ネタばれあり)(WEB完結済)

  今回の紹介は、小説家になろうで投稿され、オーバーラップ文庫にて出版された「フシノカミ( 作者:雨川水海 様)」です。

 

 

この作品はこんな人におススメです

・成り上がりが好きな人

・賢い主人公が好きな人

・俺TUEEEが好きな人

・戦うヒロインが好きな人

・ファンタジーの中に香るSFが好きな人

・幼馴染とお嬢様のどっちも好きという人


 

 本作品は、WEB完結ということで小説家になろうの掲載ページでは完結していますが、恐らく書籍の方ではWEB版では語られなかったエピソードが続くものと思われます。また、この作品は2019年1月1日に連載開始し、ちょうどほぼ1年後の2019年12月31日に完結という、とても計画的できれいな終わらせ方をしています。内容としての文章も非常に読みやすく、作者様の性格が窺い知れるかなと思います。

 では、ひとまずあらすじをどうぞ。

 

あらすじ

前世らしき記憶を持つ少年アッシュは、決意した。記憶にある便利な生活を、今世に取り戻そう。
辺境のド田舎、何の地位も財産もない農民の倅に、そんなことが果たしてできるか。
少年は笑った。まず、無理だろう。だが、笑った。
どうせこれ以上ないほど絶望的な今世だ。精一杯夢を見て、全力で追いかけて、思い切り前のめりにくたばってやろうではないか。

これは、文字を覚えるところから始めた少年が、田舎の寒村を仰天させ、辺境の領都を発展させ、王国を震撼させ、世界を変革する記録。
後世に伝説として語られる、文明復旧の物語である。

 

 

読んでみて

 辺境の田舎に住む農民の息子として主人公は生まれますが、彼は前世の記憶のようなものを持っていました。記憶にある世界と今の世界との差に絶望するも、幼馴染の母親に目を覚ませられ、記憶の世界の実現を目指して周りを遠慮なく巻き込みながら我武者羅に突き進む物語です。

 よくある転生ものかと思いきや、物語が進むとちょっと一筋縄ではいかない印象を与えてくれます。

 当初の記憶の描写から現代からの転生かと思ったのですが、さりげなくSFちっくな単語が前世の世界では馴染みのあるものとして語られていて、良い意味で自分の期待を裏切ってくれました。伏線というか、読者の想像と主人公の認識・背景の食い違いのヒントを物語の端々に散りばめられていて、読ませ方が上手いなあと感じさせられます。

 主人公は武力もあるのですが、どちらかというと頭で勝負するタイプで本気で勝つためならば手段は選ばないという性格です。しかし、卑怯というわけではなく、戦国時代での武略を使う武将といったイメージでしょうか。

 主人公はトントン拍子に出世していくのですが、周りをしっかり味方につけ、論理的に話を進めていくので展開がスッと頭に入ってくると思います。ただただ主人公だけが凄いという描写ではなく、周囲のキャラを上手く持ち上げて面白さを引き立てていっている感じです。

 逆に主人公の敵も幾多登場しますが、口でも腕力でもしっかりと反撃してとっちめてくれるので安心してすっきりできます(笑)

 おススメの点でも少し触れましたが、メインのヒロインは二人登場します。

 幼馴染とお嬢様ということで、DQ5をプレイした方は馴染みが深いのではないでしょうか。

 最初に幼馴染とくっつくのでヒロインは一人だけかと思いきや、お嬢様もしっかりいただいてしまうという……(笑)

 幼少期からしっかりエピソードを積んできていますので、ダブルヒロインというのも抵抗なく受け入れられました。書籍版では3人の婚姻後のエピソードがもっと語られるのではないかと期待しています。

 私のおススメのエピソードは、幼馴染の女の子が主人公を射止めるため、武芸大会で優勝するお話です。

 字面だけ見ると、中々のパワーワードが並びますね(笑)

 なぜそんな事態になるかというと、幼馴染の両親が絡みます。彼女の両親は、田舎村の村長の息子と辺境伯の長女でした。愛し合いながらも結婚を反対されたため、身分差を乗り越え結婚を認めてもらう手段として父親が剣一本で王都に乗り込み、武芸大会に参加します。そして、見事優勝し、褒美として結婚を勝ち取ったという経緯がありました。

 幼馴染も自分の両親にあやかって、同じことをしようとしたわけですね。その展開や結果は読んでからのお楽しみとして欲しいのですが、幼馴染の父親、そして幼馴染自身も「首狩り」という異名の戦闘スタイルで戦います。これが中々痺れます。ぜひ読んでいただきたいところです。

 全体的に内政も戦闘もバランスよく上手く描かれていて、途中で飽きることもない作品です。ぜひ一読ください。 

 

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