小説とプログラミングのお話

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【小説家になろう】山内くんの呪禁の夏。【感想】(ネタバレあり)(完結済)

 

  今回の紹介は、小説家になろうに投稿され、角川ホラー文庫で書籍化されている「山内くんの呪禁の夏。(作者:二宮酒匂 様)」です。

 

 

この作品はこんな人におススメです

・伝奇的ホラーが好きな人

・男装美少女が好きな人

・呪いや祟り、田舎村の独自風習といったワードが好きな人

・一見普通の主人公が実はヤバい力を持った家系という展開が好きな人

・『ひぐらしのなく頃に』や『月姫』が好きな人


 

本作品は、2014年11月24日に完結されていまして、雑誌などでも当時紹介され、現在は書籍化されています。

 

作者の二宮酒匂様は他にも作品を書籍化されていまして、描かれるキャラと物語の世界観が私の琴線に触れてとてもゾクゾクさせてくれる作者様です。←何の説明にもなっていなくてごめんなさい(笑)

細かい設定やキャラの仕草の一つひとつに非常にアクセントが効いている物語を書いてくださっています。

 

この方についても、いずれ他作品について紹介したいなと思います。

では、まずあらすじをどうぞ。

 

あらすじ

『きみ、なんで火がお口から出てるの?』『……へーぇ。オレの火がみえるんだ』幼い日、墓石の陰から現れた妖しい子に、山内くんは命を救われた。小学校六年生になった山内くんは緑豊かな兵庫県山奥の町で、その子、十妙院家の紺(こん)に再会する。しかし今度は“仲間”にひきこまれ、この世ならぬものが見えるようにされてしまう。そのために事件につぎつぎ巻き込まれ、さらに、自分が以前から誰かに呪われていたことを知る。『心配するな、オレが守ってやる』紺は胸を張るが、その胸はふくらんでおり、ずっと彼女を男の子だと思っていた山内くんは困惑せざるをえず……?
 狐と禁呪、恋とおまじないの青春オカルティックファンタジー。

 

 

主人公

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小学校六年生の男の子。

ワケあって義理の父親と暮らしていたが、住んでいたアパートが全焼し生まれ故郷に戻ってくる。幼い頃から、彼の周りでは様々な災害や不幸が起こるため災難に巻き込まれてきた。その原因は、彼の本当の両親から受け継いだ血にあるのだが、その真実を生まれ故郷に戻ってきた時に起こる事件を通して知ることになる。

 

読んでみて

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あらすじだけを読むと、なんだかライトな感じであまりホラーっぽさは感じないのですが、読み進めていくと実にホラーの醍醐味を味わわせてくれる作品です。でも、しっかりと恋と青春も描いている辺り本当にストーリーが上手いなと思います。

 

主人公は小学生です。ライトノベルだと高校生や大学生、社会人といった主人公が多い中、本当に中身も外見も小学生の主人公というのは中々珍しいかなと思います。

 

幼い頃から呪われているかのように凄まじい災難を潜り抜けてきている小学生です。

はじめてのおつかいでは殺人強盗犯に人質にされ、ハイキングに行けば遭難し、電車が通過中の踏切に突き飛ばされ、無人の車が彼を押し潰そうと歩道に乗り上げてくる。

 

実際呪われているが故の結果なんですが、そんな彼の身を守ったのが生まれ故郷で出会った女の子に貰った牙笛というアイテムです。

主人公に危険がせまると自然と音が鳴って知らせてくれるという便利アイテム。これのおかげで主人公は幾度も危険を脱してきたわけです。

 

物語ではそんな主人公の災難の一つで住居を失ったため、きちんとお祓いのような対処をしてもらおうということで、義理の父親の古い知り合いでもある専門家が住む生まれ故郷の村に戻るところからストーリーが始まります。

 

生まれ故郷に戻った主人公は、かつて牙笛をくれた女の子と再会します。と言っても、その女の子の家系のしきたりで男装しているため当初は男の子だと勘違いしているのですが……。そして、その女の子の家系こそが義理の父が言うその筋の専門家で、呪禁師と呼ばれる家でした。

 

呪禁師としての血から、幼いながらも不思議な力と術を持つ女の子は、気まぐれに主人公の中に眠っていた見鬼の力を目覚めさせてしまいます。

見鬼とは『怪異を見る術・能力』のことで、狗眼もしくは浄眼とも呼ばれる能力。その能力のおかげで、主人公はこの世とは違う見えざる者たちを見えてしまうことになってしまいます。

 

村でも相変わらず様々な事件に主人公は遭遇します。

謎の焼死体や、こっくりさんによるピンチ、ヒロインとは別の古い力のある家の跡取り息子からの襲撃。

 

子供たちの日常と非日常の切り替わりを主人公の『見鬼』の眼を通して見事に表現していて、実に物語に引き込まれます。

そして、物語の冒頭から断片的に語られていたいくつもの伏線が終盤における主人公の出生の秘密と、敵である殺人鬼との対決の結末に紡がれていくのは本当に素晴らしい展開でした。

ホラーの怖さからくるドキドキとカタルシスによるドキドキとが相まって、終盤は読んでいると胸が苦しくなります(笑)

 

冒頭のおススメポイントでも書きましたが、『ひぐらしのなく頃に』や『月姫』が好きという方は絶対気に入ると思います。

他の方にとっても、ホラー一辺倒ではなく、しっかり青春を描いて最後は綺麗にまとめてくれていますので、おススメです。

 

ぜひご一読ください。

 

 

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