小説とプログラミングのお話

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(ネタバレあり)【小説家になろう】Doggy House Hound【感想】(完結済)

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  今回の紹介は、小説家になろうに投稿されている「Doggy House Hound( 作者:ポチ吉 様)」です。

 

 

この作品はこんな人におススメです

・スナイパーが好きな人

・狡猾な主人公が好きな人

・口ではなく実力で相手を黙らせる主人公が好きな人

・強化外骨格やエイリアン、サポートロボといったSFワードが好きな人

・アーマードコアのような世界観が好きな人


 

 本作品は、2018年10月8日に完結されてはいますが、現在も後日談というかオマケ話のようなものが時折更新されています。完結されて寂しい思いをしていた私としては、次代を予期させる後日談が嬉しい限りです。

 先日開催された第6回オーバーラップWEB小説大賞にて見事受賞されたそうで、恐らく近々書籍化されることでしょう。おめでとうございます!まだ、絵師さんが誰になるのかなど情報はありませんが、主人公たちがどんな姿になるのか、今からとても楽しみです。

 では、まずあらすじをどうぞ。

 

あらすじ

 五百年の月日は少年から記憶を奪った。
 コールドスリープにより記憶を失ったトウジは背負った借金を理由に歩兵となることを義務付けられた。
 強化外骨格を身に纏い、モノズと呼ばれる球体のロボットを友として、荒野へと変わった地球でトウジは敵性宇宙人と戦い続ける。
 配られた鬼札は平和な時代では開花することの無かった狙撃手としての才能。
 ――荒野で少年は猟犬を継ぐ。

 

 

読んでみて

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この世界では「スリーパー」と呼ばれるコールドスリープから目覚めた人間がいます。彼らは、多くがコールドスリープ前の記憶の大部分を失っており、目覚めた後の生活基盤も持っていないため、彼らを解凍した企業に所属して戦いながら自身の解凍費用や生活費の借金を返済する生活を送っています。

 

主人公もそんなスリーパーの一人であり、500年の時を超えて目覚めた日本人です。最低限の記憶は持っているものの、自分の名前の漢字すら覚えていません。

 

企業がスリーパーたちを目覚めさせるのは、人手不足解消のためです。この世界では、エイリアンを始めとする他種族の侵攻を受けており、戦争の為の人材を必要としています。人類が戦う相手は、以下3つの種族。

 

インセクトゥム

蟲人間。或いはデカい虫。ツリークリスタルを追ってやって来た敵性宇宙人の一種。

 

数が多くてそこそこ強いので、通常、企業が抱えている傭兵などは彼等の駆除が主な仕事になる。ここ、五十年ほどは、邪魔だったら人間を襲うけど、特に理由が無ければわざわざ人間の街を襲撃したりはしなくなっているが、しっかりと敵性宇宙人。

 

ツリークリスタル採掘の為にコロニーをつくることがあり、そうなると爆発的に数が増え人間の街が『邪魔』になり、襲われる。

 

繁殖にはツリークリスタルを使用しているが、一個で一匹と言う分けではなく、一個で複数の個体が生まれる。

 

役割で生きる真性社会生物。虫に似た生態と外見、攻撃方法を持っている。その形態により、ある程度役割が決まっており、複数の種類がいる。

 

バブル

泡。ツリークリスタルを追って来た敵性宇宙人の一種。

 

意識が有るのか、無いのか、目的があるのか無いのか。強い風が吹くと吹き飛ばされるので移動できないと言う生物としてどうかと思うレベルの生態持ち。

 

ハチの巣の様な巣を持って居る。役割は色で別れているらしい。

積極的に敵対はしない、自然災害みたいな種族。

 

基本的に『増える』以外の思考が薄い。地球に来たのも、自分達の繁殖に使うツリークリスタルを追いかけて来ただけ。

只管に物量で押す戦法が得意……と、言うかそれしかできない。

外見はいわゆるスライムなイメージ。もちろん冒険序盤でザコ敵として登場する方ではなく、凶悪な方。

 

トゥース

敵性宇宙人の一種……なのだが、その実はツリークリスタルの影響を受けて進化した新人類とも言うべき種族。

 

ツリークリスタルの行った、他の敵性宇宙人、インセクトゥム、バブルなどとの共生先選定に置いて、人間があまりにひ弱だった為、ツリークリスタルがテコ入れとして干渉して生まれた種。 

 

人間の進化系なので、遺伝子的には完全に優性。

人間と交わった場合、その子供は母体の種族によらず、『必ず』トゥースになる。

なので、人間の女性が孕んだ場合、子供の形によっては母体が死ぬこともある。

 

種族を滅ぼされるわけだから、多分、人間にとっては一番、性質が悪い敵性宇宙人とも言えなくはない。

その特徴から、数百年、数千年後にはトゥースが『人間』になって居るかもしれない。

 

一応、その対策として、人間側は、『トゥースとの婚姻は認めない』『トゥースと婚姻関係を結ぶ場合は人間とも婚姻を結び、最低でも同数の子を為すこと』という法令を出している。

 

ツリークリスタルの都合により、宇宙に飛び出すことも考慮されているので、自分の身体がもとより武器だったり、女性の胎で装備を造れるようになっている。

 

何故、敵性宇宙人呼ばわりされているかと言うと、その方が『殺しやすい』から。同類が変異したモノよりも、侵略者の方がよかろうと、大戦中にそう定めて、情報が流布された結果。

 

外見としては、映画「エイリアン」のエイリアンと人間が融合したようなイメージ。

 


 

対する人類が武器としているのが、ムカデと呼ばれる対敵性生物用戦闘型強化外骨格とモノズと呼ばれる球体構造の機械。ムカデはいわゆるパワードスーツで、モノズはサポートロボみたいなイメージです。

 

ムカデもモノズもツリークリスタルという資源が作成には必要で、他種族でも繁殖やら分裂やら武器製作やらでツリークリスタルが必要です。おかげで、敵性三種族と人類は、ツリークリスタルを取り合って戦争をしています。

 

主人公は狙撃の特性があったため、スナイパーとして育成され、やがて解凍技術を持たない小さな会社にもスリーパーを行き渡らせるための措置として開催されるオークションにかけられます。

 

主人公の成績は優秀であったため、本来は残留させるため元の企業が買い取るはずでしたが、そこに横槍が入れられ、他者に買い取られてしまいます。

 

主人公を買い取ったのが、民間軍事企業ドギー・ハウス所属の傭兵である「猟犬」でした。主人公は彼に師事し、やがて「猟犬」の名を継ぐことになります。

 

普通の人間に見えて、簡単に境界を踏み越えていくような色々とネジが外れている性格の主人公です。ですが、実にクールで格好いいと思います。

 

スナイパーとして非常に優秀で、熱い戦闘シーンも凄まじいスナイピングによるものが大半ですが、一方でスナイピングをするためのお膳立て、つまり戦術の組立も優秀な主人公です。それは何も戦闘だけには限らず、対人の交渉でも遺憾なく発揮されています。時には狙撃としてのスキルよりも、交渉という名の脅迫スキルが目立ったりして、とても面白い展開を見せてくれます。

 

また、この作品を一層引き立てているのがモノズたちの存在です。機械ではありますが、独自の自我のようなものを持っていて、主人のために勇敢に戦います。しかし、時には同じモノズ同士のネットワークの中で、匿名掲示板形式の井戸端会議をやっていたりと、シリアスの中に上手くコメディを表現できていて、物語の面白さを広げてくれています。

 

物語の端々で見えるワードや展開に、ハマる人は本当にハマると思います。モノズたちの掲示板をまとめサイト感覚で見るのも一興かなと思います(笑)

 

ぜひご一読ください。

 

↓小説家になろうの掲載ページです。

https://ncode.syosetu.com/n5839el/

 

掲載日 2018年 06月10日 18時39分
最終部分掲載日 2018年 10月10日 22時00分
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