小説とプログラミングのお話

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【小説家になろう】最果てのパラディン【感想】(ネタバレあり)

  今回の紹介は、小説家になろうにて連載され、オーバーラップ文庫で書籍化されている「最果てのパラディン(作者:柳野かなた 様)」です。

 

 

この作品はこんな人におススメです

・王道ファンタジーが好きな人

・主人公最強が好きな人

・ダンジョンズ&ドラゴンズのような魔法が好きな人

・世界観を重厚に作り込まれているのが好きな人

 


 

 本作品は、2020年2月22日現在も小説家になろうにて連載されていまして、まだ未完の作品になります。また、現在Webコミック誌『コミックガルド』にて、奥橋睦さんによるコミカライズ版が月刊で連載しています。

 この方の作品はまだ本作品だけではありますが、実に世界を作り上げるのが上手な方だと思います。読んでいただけるとわかりますが、作品の世界への没入感が凄いです。今はWEB版の更新が滞っていますが、ぜひまた更新を再開していただきたいなと期待しています。

 では、まずあらすじをどうぞ。

 

あらすじ

かつて滅びた死者の街。
そこには1人の子供と3人の不死なる者たちが存在した。
かつて英雄であった不死者たちに養育される少年、ウィル。
技を継ぎ知識を継ぎ、愛を注がれ少年は育つ。
解き明かされてゆく、不死者たちの過去、秘めたる謎。
その全てを知る時、少年は聖騎士への道を歩みだす。

 

 

主人公

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現代からの転生者。

失敗をきっかけに外へ踏み出すことができなくなり、両親の死を経て自分も死に至る。その後、異世界の流転の神グレイスフィールに導かれて転生。

転生後、赤子の彼を育てたのはアンデッドと化した三人の英雄たち。
一流の戦士、神官、魔法使いであった彼らに鍛えられ、主人公はその技能を次々と習得。
15歳になる頃には、神の加護をまだ授かっていないため神官としての祈祷は使えないものの立派な魔法戦士となっていた。神官としての能力も、加護を授ける神を不死神との戦いの中で見出したことで使用可能になり、聖騎士として歩み始める。
力量としては、この世界でも有数の実力者。彼の師たちの技能を受け継いでいるため、一流の戦士でもあり、神官でもあり、魔法使いでもあるという万能プレイヤー。父代わりでもあった戦士の影響か、意外と脳筋でもあり、筋力で解決できそうなら力技で問題をぶち壊すような面も見せる。

 

読んでみて

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冒頭のオススメポイントにも記載しましたが、正に王道ファンタジーというのがピッタリくる物語です。


主人公は現代からの転生者なのですが、現代知識で俺TUEEEといった雰囲気は全くありません。前世では外に踏み出せない引きこもりであったこそ、二度目の生では精一杯生きようと直向きに頑張る主人公です。

 

力量としては、この世界でも随一の英雄たちに鍛えられているため、周囲の人間からは常軌を逸した強さを持っているのですが、長年廃墟の中で育て親の英雄たちとだけしか関わってこなかったために世の常識に疎い所があり、度々失敗を重ね、落ち込んだ姿を見せてくれたりします。そんな所が、ただ主人公が強いという描写の中で、非常に人間らしさを感じさせられます。

 

この世界では、人類の敵としてデーモンという種族がいますが、かつてそのデーモンたちの王ともいうべき存在がいました。主人公たちが暮らす廃墟は、人類とデーモンの決戦の地であり、デーモンの王が封印された地でもあります。

 

人類側の最精鋭として集められた幾多の英雄の中で、直接デーモンの王と戦ったのが主人公の育て親たる英雄たちでした。しかし、彼らはデーモンの王に勝てず、殺しきれなかった。

 

かろうじてデーモンの王を封印することはできましたが、周囲は仲間たちをすり潰した他のデーモンに囲まれ、彼ら自身も満身創痍の瀕死状態。このままでは封印を守る事もできなかったため、死の間際に悪の陣営に属する不死神と契約を交わしアンデッドとなった……という経緯があります。

 

 この世界では幾多の神々が善の陣営、悪の陣営に分かれ争っています。不死神は元は善の陣営でしたが、生死の悲劇を見ることに耐えかね悪の陣営へと道を違えた神です。

 

そして、主人公が成長し15歳となる日、不死神が彼らの前に現れ、契約に従い英雄たちの魂を自らの陣営に召し抱えようとします。英雄たちはそれに抵抗しますが、神の強大な力には敵いませんでした。前世の親には何もできなかったため、せめて今世の親は救おうと主人公は一人、神と戦う道を選びます。

 

その戦いの結果は……ぜひ実際に作品を読んで楽しんでいただきたいと思います。

 

神々や魔法、種族、地理、歴史など実に綿密で重厚な世界観を作り上げている作品です。魔法は、最近よく見かけるテレビゲームのような魔法ではなく、ダンジョンズ&ドラゴンズのような昔ながらのTRPG寄りの魔法ですね。装備の説明や描写も凝っていて、そういった設定が好きな方にはたまらない物語だと思います。

 

また、ストーリーの展開がとても素晴らしいです。第一章にあたる第一巻は、実際に登場しセリフがある主要キャラクターが英雄たち3人と主人公、そして流転の神と不死神のわずか6人しかいません。これだけ登場人物を絞っているせいか、各キャラクターの掘り下げも深く、英雄たちの主人公に対する愛と、主人公の成長、前世の過ちを乗り越え強敵へ挑む勇気、神々の加護と山も谷も織り交ぜた実に見所のあるお話になっています。

 

王道ファンタジーを楽しみたい方は、ぜひご一読ください。